今どきの新築は窓サッシも選ぶモノ?種類や断熱性をわかりやく解説
新築では窓サッシはもはや選ぶ設備の1つです。今回はそんな窓サッシを選ぶために、全体の種類やラインナップ、それぞれの特徴としてメリットやデメリットを解説します。特に断熱性に影響する部位のため、性能にこだわりたい方にもおすすめの内容です。
新築ではZEH(ゼッチ)などの高断熱住宅が一般的な仕様となりつつあります。
そんな中、一際注目を集めているのが「窓(窓サッシ)」です。
窓って選ぶような種類があるの?
窓の性能って選んだ方がいいの?といった疑問をお持ちの方、必見の内容になっています。
それでは早速、今回の記事のポイントから見ていきましょう。
・窓サッシは高断熱における非常に重要な要素で、窓の性能次第で断熱性は大きく変わる
・樹脂サッシで使う樹脂は、耐久性の高いタイプを使っているので問題なく、昨今は樹脂窓が人気ですが、外側がアルミになっているハイブリッドサッシもデザイン性等の観点からは有意義
・ガラスは2枚の複層ガラスが一般的で、トリプルガラスも超高断熱住宅で採用されているがメリットだけではない点に注意
・室内の温熱環境の快適性をどこまで求めるのか?窓サッシは初期コスト対効果を考えて導入することをおすすめします |
1. 窓は断熱性能を大きく左右する
出典:LIXIL
家の断熱性能、すなわち保温性は窓の性能で大きく変わります。
上図は、一般的な1枚のガラス・アルミサッシの場合、家からどれだけ熱が逃げるか(冬の場合)、熱がどれだけ入ってくるか(夏の場合)を示しています。
これを見ると特に夏の影響が大きく、昨今の酷暑による室内での熱中症が問題になっているのも納得です。
このように、夏・冬といった室内・屋外の温度差がある季節は、せっかくエアコン等で温調した熱が窓から出入りしてしまっている現状があります。
そのため、窓や玄関といったいわゆる「開口部」の断熱性は新築時にしっかりチェックしましょう。
1-1.結局は家全体での断熱性能だが部位ごとにも考慮する必要あり
窓サッシの断熱性はU値という値で示されます。
これは熱貫流率といって、熱の伝わりにくさを表している数字です。
数字が低い方が熱を伝えにくいという意味になっている、という部分まで覚えてもらえれば十分です。
家の断熱性能は、よくUA値という数字で表されますが、これはU値(壁や窓など各部位の熱の逃げにくさ)をAverage(平均)したものがUA値となっています。
長期優良認定住宅であれば、このUA値が0.6W/㎡・K(愛知県)となりますが、サッシだけでなく家全体の壁や床も総合して計算します。
もちろんこの数字が低い方が断熱性が高い、となるのですがあくまで「平均値」です。
例えばリビングには多くの方が大きい窓を設けますが、窓が大きいと逃げていく熱の量も多くなってしまうため、リビングだけ少しグレードが高い窓サッシを採用したりすると、机上の数字だけでなく実際の住み心地もいい家になるでしょう。
このあたりの “ さじ加減 ” については、設計士が行いますのでご心配なく。
2.窓の種類を知ろう
昔はガラス1枚のアルミサッシだけでしたが、昨今は様々な種類があります。
窓サッシは大きく分けて、フレームとガラスの2つに分けることができますが、それぞれについて分かりやすく解説していきます。
2-1. 樹脂サッシ
出典:YKKAP
まず窓サッシのフレームはこれまではアルミが主流でしたが、昨今は樹脂サッシが多く使われています。
世界的に見ても、寒い地域で断熱性が優れた家が多い国では、実は樹脂のサッシが主流になっているのです。
日本は、アルミサッシを多く使っており、家の断熱性という観点からの出遅れてしまっています。
出典:YKKAP
このように、サッシは2種類のタイプがあり、室内側・屋外側両方に樹脂が使われているタイプと、屋外側はアルミで室内側は樹脂というタイプがあります。
ここで多くの方は、樹脂=プラスチック=屋外側がボロボロにならない?という連想になるのではないでしょうか。
答えから申し上げると、ボロボロにならない樹脂を使っているので心配無用です。
出典:YKKAP
窓に使われる樹脂は、耐候性に優れているPVCという樹脂で、一番イメージしやすい素材としては配管にも使われている素材と同じ分類の素材です。
樹脂は金属に比べて熱を伝えにくいことと、加工がしやすいことの両側面から樹脂を使っており、金属に比べて熱を伝えにくい=断熱性が高いことが特徴です。
2-2. アルミ樹脂複合サッシ
出典:LIXIL・カタログ
一方、外側がアルミのサッシは耐久性が高いことに加えて、フレームを薄くデザイン性を高めやすいという特徴があります。
内外樹脂サッシは断熱性が優れている一方、窓サッシとして変形したりしないよう、ある程度フレームを太く作らなくてはいけないのです。
それに対し、外側がアルミになっている窓サッシは耐久性以外に、製品としての「剛性」を確保しやすく、同時にフレームを薄く仕上げやすい特徴があります。
出典:LIXIL
デザイン性を重視すると、フレーム枠が薄いことで空間がスッキリ見えるメリットもあります。
ただ、断熱性を一定以上に高めていくことを考えると樹脂サッシの方が昨今は主流になっています。
2-3. ガラスは2枚と3枚のタイプがある
出典:三協アルミ
つづいて、ガラスのお話です。
昨今はどこの住宅会社でも複層ガラス(2枚)が一般的で、和光地所でも複合ガラス(Low-E)を採用しています。
一方、超高断熱住宅の場合、更にガラス面の断熱性能を良くするためにトリプルガラス(3枚)を使います。
複層ガラスとトリプルガラスを単純に比較すると、もちろんトリプルガラスの方が断熱性能は確保しやすいです。
しかし、大事なポイントはコストや効果とのバランスです。
間取り等にもよりますが、ZEHや長期優良認定住宅の基準をクリアし、愛知県で「おおむね」快適に暮らすのであれば、正直複層ガラスでも十分と言えます。
断熱性や住宅の性能に徹底的にこだわりたい方にはトリプルガラスをおすすめしていますが、断熱性能による効果である「快適性」と「光熱費の抑制」には正直限界があるのが実態です。
そのあたりは客観的なデータも用いつつ見ていきましょう。
3.高性能窓サッシのデータやデメリット
3-1. 高断熱の効果
出典:LIXIL・カタログ
LIXILのカタログからの引用ですが、上図を見ると高断熱が重要であることは一目瞭然です。
こちらを冷静に見ると、真ん中のデータは断熱性能4、一番右のデータは断熱等級6の家です。
ZEHや長期優良認定住宅が断熱等級5ですので、真ん中の「今の家」と「これからの家」の中間ということになります。
床の温度に違いがありますが、等級4で20℃、等級6で22℃となっています。
昨今、国も2030年にはZEHを標準基準とする予定であるので、最低限でもZEHレベル(等級5)程度までは、快適性の効果などからも必要です。
しかし、ZEHからもう1段階、断熱性をアップさせても、この図では床の温度が1℃違うだけとなります。
もちろん、光熱費の削減額が変わってきたり、体感温度にも影響しやすいため、実際は床温度1℃のみの差ではありませんが、トリプルガラスを採用し建築費用を大幅に上げた性能にするのかどうか?は冷静に考えた方が良さそうです。(愛知県では)
3-2. 高性能窓サッシのデメリット
メリットだけに焦点が当たりやすい高性能窓ですが、デメリットもあります。
大きなデメリットはコストと、窓の重さです。
コストは言わずもがなですが、もっとも性能の高い窓にすると、ZEHレベルをクリアする窓からのコストアップ額は100万円単位になってきます。
そのため、こだわりを入れるのであれば、リビングの大きい窓だけ性能の一番高いものにする、などの工夫が必要です。
またガラスが2枚であればまだよいですが、トリプルガラスになってくると引違いの窓などはさらに重量が重く、開閉するのに力がいります。
大きなハンドルを設置する改善方法もありますが、それでも女性や子供では開閉できないという声もあります。
断熱性能が良いことは悪いコトではありませんが、実際の使い方も考えて選ぶ必要があるでしょう。
4.まとめ
出典:和光地所・施工事例
今回は窓サッシの種類や選び方のコツなどを解説してきました。
断熱性能が高い住宅は快適性が最上級ではありますが、家づくりは様々な要素とコストのバランスで考えていくべきものです。
お客様によって価値観が異なりますので、みなさんのご家族の中で室内の温熱環境の快適性をどこまで求めるのか?を、考えた上で断熱性能および、性能を大きく左右する窓サッシを選んでみましょう。
和光地所ではアルゴンガス入りの複層ガラスが標準ですが、愛知県の気候と初期コストとの費用対効果を考えて設計しております。
ぜひお気軽に和光地所までご相談ください。