住宅ローンの金利って上がるの?住宅ローンの金利のキホンを解説
家づくりを始めたばかりの方は、昨今の住宅ローンの金利が上がり始めているという噂で、本当に大丈夫?と焦っている方も少なくありません。今回は金利のキホンを知って、焦ることなく賢く家づくりをするために参考になるポイントを分かりやすくお伝えします。
2024年以降、家づくりを考えている方には重要なポイント、住宅ローンの「金利」のキホンをお伝えしていきます。
ニュースで住宅ローンの金利がすごく上がると聞いて不安…、固定金利と変動金利どっちがいいのかな…と住宅ローンで不安になっている方も、こちらの記事を家づくりの参考にしてください。
少し経済の難しい話もありますが、しっかり理解しておくことで住宅ローンの選び方などに強くなります。
それでは早速、今回の記事の要点から見ていきましょう。
・すぐに住宅ローンの金利が高騰する可能性は極めて低く、長い時間をかけて上昇していくためまずは落ち着いて家づくりをすすめましょう
・日銀はマイナス金利を解除しましたが、固定金利と変動金利で基準となっている指標が違うため、これにより変動金利が急に上がることはなく今後も変動金利が優位の可能性が高い
・変動金利は、見直しの時期は半年ごと、そして返済金額の変更がある場合は5年ごとであり、最大でも125%までしか上がらない(それ以上に高騰する場合は最後に払う)
・直近の状況では、住宅ローンの金利の上げ幅より資材費の上げ幅の方が早いため、金利が理由で家づくりで悩んでいると、資材費の上昇分でむしろ高くなる可能性も
・最終的にはご家族のタイミングで家が必要だと思ったタイミングが、家づくりをスタートするベストタイミングですが、インフレの影響もあるので必要以上の引き延ばしは賢明ではない |
1. 住宅ローン金利が急に高騰する可能性は極めて低い
24年3月に、約8年ぶりに日銀が政策金利マイナス運用から、実質的なゼロ金利へ移行しました。
このニュースを受けて「住宅ローンの金利が上がる!」と不安な声がSNSでも相次きました。
しかし結論から申し上げると、総合的に考えると住宅ローンの金利への影響は少なく、急に住宅ローンが高騰する可能性は低いです。
また、もし想定以上のインフレになっていったとしても、長い時間をかけて金利上昇していくためまずは落ち着いて家づくりをすすめましょう。
1-1. 急に上がる可能性は低い理由
住宅ローンの金利自体は、大元は「日銀の金融政策」がベースとなっているため、住宅ローンの金利に影響がないわけではありません。
しかし、今までのマイナス金利状態がむしろデフレ下における「異常」であっただけであり、金利がゼロ以上ということで通常運転に戻ったと言える状態です。
また日銀自身が、マイナス金利解除発表後の会見で当面緩和的な金融環境を継続し、貸出金利が大幅に上がる事態は想定していないという発言もしています。
出典:ニッセイ基礎研究所
そして変動金利の基準金利は短期プライムレートが金利を決める指標になっていますが、2009年以降ずっと一定で、リーマンショック前の最大上昇時でも0.5%も上がっていません。
また、固定金利は変動金利に比べて金利が高く設定されているものの、返済期間中は金利が変わらない特徴があります。
金利が変動に比べて高いものの変わらないことを「メリット」と捉えるか?は考え方次第ですが、いずれにしても過去を見ると、変動金利の基準となる短期プライムレートは0.5%程度しか変化していないことは冷静に知っておくと良いでしょう。
1-2. 金利が変わると返済額はこれだけ変わる
ちなみに、金利が変わるとどれくらいの変化があるのか?をみていきましょう。
仮に4,000万円を35年返済で借入する場合、金利が変わるとどれくらいの返済額への影響かを示した表がこちらです。
借入額:4,000万円 (35年返済・元利均等) |
金利:0.7% |
金利:1.2%(+0.5%の場合) |
月々の返済額 |
107,408円 |
116,680円(+9,272円) |
総返済額 |
45,111,275円 |
49,005,810円 |
差額 |
ー |
+3,894,535円 |
4,000万円を借りた場合に金利が0.5%あがると、35年の総返済額は約390万円のアップになります。
しかし、現状の状況から変動金利が0.5%も一気に上がることは上記で説明した通り考えにくいためご安心ください。
2. 変動金利のキホンのルール
出典:フラット35資料
変動金利と聞くと、毎月返済額が変動するようなイメージを持つ方もいるかも知れません。
しかし、変動金利と言いながら返済額は5年間変わることはなく、金利の上昇に右往左往する必要はありません。
金利の変動の基準となる指標は半年ごとに見直しがされるようになっていますが、返済額がコロコロと頻繁に変わるわけではありませんのでご安心ください。
また、仮に金利が相当なスピードで上がり続けていったとしても、返済額は最大でも125%までしか上がらないというルールがあります。
しかし、この125%ルールが適用されたことは過去に一度もありません。
日銀がマイナス金利をゼロに戻しただけで、銀行同士の競争も激しくなってる昨今、非常に考えにくい事態でもあります。
なお、125%の上限を超えて金利が高騰した場合には、最後に支払わないといけませんが、これも可能性としては非常に低いと言えます。
3. 住宅の返済は金利だけでなく建物本体価格の上昇も考えよう
直近の状況では、住宅ローンの金利の上げ幅より資材費の上げ幅の方が早いです。
金利を理由に家づくりで悩んでいると、資材費の上昇分の方が影響が大きくなります。
昨今は、食料品などの日用品ですら値上がりしてきているのは、スーパーなどで買い物をしていても日々感じますよね。
2024年は4月から運送業の残業規制なども本格的に入ってくるため、物流費がさらに高騰するとも言われています。
そのため、金利の上昇分などを考えているうちに、建築費自体の上がり幅の方が高くなってくるでしょう。
そのため、家づくりを考え始めている方は金利の問題よりも、むしろ資材費および関連費用のコストアップの上昇を考えて、家づくりを早期にする方が理にかなっています。
4. 家族のタイミングを大事に(まとめ)
ただ、このような資材費や金利の動向も大事なのですが、最終的にはご家族のタイミングで落ち着いて決めましょう。
「今年は家が買い時?」という質問を受けることがありますが、住宅制度・補助金・金利の動向といった外的な要素で多少、家づくりをする上でのメリットの大小の変化はあります。
しかし、ご家族の中でマイホームが必要だと思ったタイミングが、家づくりをスタートするベストタイミングです。
インフレの影響もあるので必要以上の引き延ばしは賢明ではありませんが、家づくりに焦りは禁物です。
その他、失敗しないための住宅ローンの基本の内容もお伝えしていますので、こちらの記事も合わせてご覧ください。
【初めての家づくり】失敗しない住宅ローンの基本 | 和光地所